「パチンコ打ってる女とか嫌われそう」 好きと言えない趣味になった話
勝ち報告の投稿に、こんな前置きが添えられていました。
「パチンコ打ってる女とか嫌われそうなんで、投稿あんまりしてないだけなんですけどねっ」
リプ欄は祝福が中心で、場としては穏やかでした。それでも、この一文が引っかかって離れませんでした。
これは、女性だけの話ではない
最初に書いておきたいことがあります。
男性でも、人前で「パチンコが好き」とは言いづらくなりました。
いつからでしょうか。少なくとも、私が打ち始めた頃はそうではなかった。職場でも、飲み屋でも、普通に話題として出せていました。
今は違います。初対面や、まだ距離のある相手に言うと、あの反応が返ってくる。
「あっ」
一瞬の間。それから微妙に会話が組み立て直される。あれが何度か続くと、自然と言わなくなります。
結果として、こうなる
- かなり親しくなってから、慎重に切り出す
- 相手が先に言い出したときだけ、乗る
- 趣味を聞かれたら、別のものを答える
- SNSでは、そもそも投稿しない
好きなものを、好きと言えない。 冒頭の投稿は、それを女性の立場から書いたものですが、構造としては共通しています。
「嫌われそう」は、思い込みなのか
ここは公平に検証します。本当に嫌われているのか、それとも過剰な自意識なのか。
残念ながら、偏見が実在することを示すデータはあります。
制度の側から見ても、扱いは特殊
先日、生活保護とパチンコの記事を書いたときに触れた数字です。
厚労省の実態調査では、自治体による指導・助言のうちパチンコが79.4%を占めていました。競馬は7.8%、宝くじ・福引は4.3%です。
| 対象 | 指導・助言の割合 |
|---|---|
| パチンコ | 79.4% |
| 競馬 | 7.8% |
| 宝くじ・福引 | 4.3% |
あの記事では「店舗が身近で目につきやすいから」という解釈を書きました。ただ、結果として「パチンコだけが特別に問題視される」という状況が生まれているのも事実です。
報道のされ方も非対称
先日、ダイナムの義援金について書いたときにも整理しました。
| 内容 | 報じられ方 |
|---|---|
| ホールが義援金を募集 | 業界紙のみ |
| ホールで事件が発生 | 「パチンコ店で」という枕詞つきで全国報道 |
良いニュースでは業種名が省かれ、悪いニュースでは強調される。 この積み重ねが、世間のイメージを形作ってきました。
つまり「嫌われそう」という感覚は、単なる自意識過剰ではありません。 それなりに根拠のある予測です。
ただし、実態とはズレている
一方で、実際に打っている人の像は、イメージとかなり違います。
日遊協のファンアンケート2025から、いくつか数字を拾います。
| 指標 | 実態 |
|---|---|
| 1円パチンコの利用率 | 28.6%(4円の21.5%を上回る) |
| 1日の平均使用金額 | 22,586円(3年連続増加から減少に転じた) |
| 「1ヶ月に1回未満」の層 | 11.7%(前年8.7%から上昇) |
| 遊技歴20年以上 | 50%以上 |
低貸しが多数派で、来店頻度の低いライト層が増えている。 「毎日通って大金を溶かす人」という像は、少なくとも多数派ではありません。
ところが、イメージの中の打ち手は今も昔のままです。 実態が変わっても、世間の認識は簡単には更新されない。
ユーザーの反応
この投稿への反応を要約して紹介します。
- 「勝ったなら素直に喜べばいい。おめでとう」という声(祝福の反応要約)
- 「気にせず投稿してほしい。同じように遠慮している人は多いはず」という声(後押しする反応要約)
- 「男でも言いづらい趣味になった。性別の問題だけではない」という指摘(構造を広げる反応要約)
- 「実際に偏見はあるので、遠慮する気持ちも分かる」という指摘(現実を認める反応要約)
- 「隠さなければならない趣味という時点で、業界にとって深刻な話だ」という指摘(業界目線の反応要約)
5つ目。これは、業界にとって本当に重い指摘だと思います。
「言えない趣味」は、静かに死んでいく
ここが今日いちばん書きたい部分です。
先日、「辞めた人は戻らない」という調査について書きました。入り口(新規獲得)は競馬並みに健闘しているが、出口(離脱)で惨敗している——という分析です。
そのとき私は、自分自身も足が遠のいていることを書きました。怒っているわけではなく、ただ行く理由が薄くなった。
そこに「人に言えない」という要素が加わると、どうなるか。
| 言える趣味 | 言えない趣味 |
|---|---|
| 誘い合える | 一人で行くしかない |
| 話題として共有できる | 共有先がない |
| やめても再開しやすい | 離れると戻る接点が消える |
| 新規が入ってくる | 誰も勧めない |
とくに最後。 好きだと言えないということは、誰にも勧めないということです。
先日、「人生経験として行ってみたい」と言った人に、周囲が全員でやめとけと言う投稿を扱いました。あのとき私は「止める側も正しい」と書きました。実際、私自身も大切な人には止めると思います。
でも、その積み重ねが今の状況を作っています。誰も勧めず、誰も公言せず、静かに人が減っていく。
じゃあどうするか
大きな解決策はありません。ただ、いくつか思うことはあります。
①「言える相手」を大事にする
親しくなってからなら言える。それは裏を返せば、言える相手がいるということです。
ホールで顔を合わせる人、同じ台の話ができる人。そういう関係は、思っているより貴重かもしれません。
②遠慮せず、普通に投稿していい
今回の投稿へのリプが祝福で埋まったのは、偶然ではないと思います。同じように遠慮している人が、それだけ多いということです。
ネガティブな話題ばかりが流れる中で、「今日は勝った」という報告が普通に流れる状態のほうが、界隈としては健全でしょう。
③業界も、言い訳せずに発信する
先日、ホールの班長が「抽選は正規に行われている、これはファクトだ」と発信した件を扱いました。あのとき書いたことを、もう一度書きます。
届かないかもしれない。言い訳に聞こえるかもしれない。それでも、誰かが言い続けないと何も変わらない。
義援金も、防災設備も、地域貢献も、ほとんど報じられません。だからこそ、業界の中にいる人間が言い続けるしかないと思っています。
まとめ
「パチンコ打ってる女とか嫌われそう」。この遠慮が生まれること自体が、業界の現在地です。
そして繰り返しますが、これは女性だけの話ではありません。 男性も、いつの間にか言い出せなくなりました。「あっ」という反応を何度か味わえば、誰でも学習します。
好きなものを好きと言えない。 単純に、寂しい。
今日勝った人が、それを普通に報告できる。そのくらいの空気には、いつか戻ってほしいと思います。
※本記事は2026年9月7日時点の情報に基づきます。統計は厚生労働省の実態調査、日本遊技関連事業協会「ファンアンケート」等の公開情報を参照しています。投稿の内容および反応はSNS上の投稿を要約したもので、原文の引用ではありません。
パチンコ・パチスロは18歳になってから。適度に楽しむ遊びです。のめり込みに注意しましょう。
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